📙不動産競売の豆知識
ア行
空き家(残置物あり)
建物は空き家ですが,内部に所有者などが残していった物があります。買受人は,残置物を勝手に処分することはできないので,原則として執行官に費用を予納した上で明渡執行を求める必要があります。なお,空き家であるとの認定は,執行官が行った現況調査時点の資料に基づき判断したものであって,現時点において空き家であることを示すものではありません。
明渡しの催告
明渡執行に際し,執行官が,債務名義上の債務者が不動産を占有していることを認定し,執行に着手することが可能であると判断した上で,明渡しの断行予定日を定めて,債務者に告げることにより,その日までに任意に明渡しをするよう占有者に促すことです。この催告を公示することにより,その後,断行日までの間に不動産の占有の移転があった場合であっても,はじめから手続をやり直すことを要しないで,直ちに明渡執行を断行することができます。
明渡し訴訟
所有者が占有者に対し、裁判所を通じて不動産の明渡しを法的に要求することを言います。 占有者が明渡しに応じず、また裁判所より引渡命令が出ない場合は、明渡し訴訟を提起する手法を講じなければなりません。
特に平成8年8月31日以前の競売申立ての場合では、使用借権が成立している、または短期貸借権の期限が経過した場合等です。
このようなケースでは引渡命令が出ませんので、明渡し訴訟を提起することが必要となりました。 一般的に引渡命令よりも時間と費用の面において買受人の負担が重いため、可能な限り明渡し訴訟を提起しないほうが賢明です。
明渡し猶予制度
「直ちに退去しろ!」と言われても占有者は困ります、それで明渡し猶予制度というものがあります。「抵当権に対抗する事のできない賃借権」つまり抵当権設定の後に契約された賃借権のための制度です。
落札した人が代金を納付した日から6か月間を経過するまでは建物の占有者に明渡しを要求することができません。ただし、この間の賃料は占有者から落札した買受人が受け取ることができます。
明渡し猶予については裁判所の3点セット「物件明細書」に記載があるので確認が必要です。
明渡し料
競売不動産において、当該不動産占有者に任意に明渡してもらう場合に、買受人が占有者に支払うお金です。立退料、引越代などにあたります。
一括売却
簡単に言えば複数の不動産をまとめて売却することです。
例えば建物と土地、道路持分という3つの不動産をまとめて売却することです。
競売において複数の不動産を同時に売却する場合に、その不動産を利用する上で同一の人に売却するのが一番良いと思われたときに裁判所の判断で複数の不動産を一括して同一の買受人に売却することです。
延期
不動産競売で使用される延期とは、債務者と債権者との間で話し合いが進められている場合に、対象となる不動産が売却されないようにとりあえず一時的に入札期間を延期することを言います。債権者より裁判所にこの延期申請がなされた場合は、競売手続は一時的に延期され、たとえ競売の対象となる不動産が公告されたとしても、 開札されることはありません。
カ行
買受可能価額
買受可能価額とは,売却基準価額からその20パーセントに相当する額を控除した価額のことです。買受けの申出の額は,この価額以上でなければなりません。
買受適格証明書
売却物件が農地である場合,その所有権を移転するには農業委員会又は都道府県知事の許可が必要であるため,買受申出ができる者を,上記の機関が交付した「買受適格証明書」を有する者に限っています。裁判所で入札するためには,あらかじめ買受適格証明書を取得しておかなければなりません。
買受申出人と最高価買受申出人と買受人
「買受申出人」とは競売の入札に参加した人で「最高価買受申出人」は開札期日に最も高い価格を付けた人、すなわち落札した人です。
開札期日の1週間後に「最高価買受申出人」に問題がなく売却許可決定されると「最高価買受申出人」は「買受人」となります。
買受人は代金を納付して競売物件をようやく購入できるのです。
買受人の所有権取得
買受人が代金を納付すると,そのときに不動産の所有権を取得します。買受人は,裁判所から送付された「代金納付期限通知書」に同封された「振込依頼書(兼入金伝票)」に必要事項を記載の上,指定銀行あてに代金を振り込み「保管金受入手続添付書(3枚綴りの2枚目)」を受け取ります。必要事項を記載した「保管金提出書」に,「保管金受入手続添付書」を添付して,裁判所に提出し,「保管金受領証書」を受け取ります。法律上はこの時点で買受人に対する所有権移転の効力が生ずることになります。
開札期日
一番高く入札した買受希望者を決定する日のことです。
管轄の裁判所の売却場で行われます、入札書の入った封筒を執行官がその場で開封します。
そして、最も高い入札価格を記入した人が最高価買受申出人に決定します。
高価買受申出人に決定した人の保証金は、競売物件の落札価額に充当されます。
落札できなかった人の保証金は1週間~10日以内に返還されることになります。
開始決定・差押え
強制競売や担保不動産競売の申立てを受けた執行裁判所は,申立てが適法にされていると認められると,不動産執行を始める旨及び目的不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います。開始決定がされると,裁判所書記官が管轄法務局に対して目的不動産の登記簿に「差押」の登記をするように嘱託をします。また,債務者及び所有者に開始決定正本を送達することになります。
会社更生法
民事再生法とかなり似ていますが、株式会社しか使用できない反面、担保権者の同意を得ないままで更生計画を策定することが出来ます。大き目の会社に用いられる法律です。
確定した執行決定のある仲裁判断
仲裁判断に基づいて強制執行するには,あらかじめ日本の裁判所において,強制執行を許す旨の決定(執行決定)を得なければなりません。
確定判決
確定判決とは,上訴裁判所によって取り消される余地のなくなった判決のことです。このうち,強制執行できるのは,給付請求権を表示した給付判決に限られます。
仮執行宣言付支払督促
支払督促は,債権者から申立てを受けた裁判所書記官が債務者に対し一定額の金銭を支払う旨の命令を発するものです。支払督促送達後,2週間以内に債務者が督促異議の申立てをしないときは,そのときから30日の期間内に,債権者は仮執行宣言を申し立てることができ,この宣言がされると,債権者は強制執行を申し立てることができます。
仮執行宣言付判決
仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」等という判決主文)が付された給付判決は,確定しないでも強制執行をすることができます。
期間入札
裁判所書記官が定めた期間内に入札を受け付け,後日開札を行って落札者を決める入札方法。
期間入札の公告
期間入札で売却される不動産については,入札期間が始まる日の2週間前までに裁判所の掲示場か庁舎の中の掲示板に,公告が掲示されます。公告には,売却される不動産,入札期間,開札期日が開かれる日時・場所,不動産の売却基準価額,買受可能価額,買受けの申出に際して提供しなければならない保証の額や提供方法など,売却についての重要な事項が記載されています。買受けを希望される方は,まずこの公告を見て,自分の買いたいと思う不動産を選択してください。BITでは,3点セットの冒頭に期間入札の公告の写しを添付しています。 なお,多くの裁判所では,新聞などに不動産執行の広告を出しているので,参考にしてください。
却下決定
裁判所に対する申立てについて、裁判所がその申立てに理由がないことを認める判断です。特に競売不動産購入に関して問題になる場面は、売却許可決定や引渡命令に対する執行抗告に対して、裁判所が却下の決定をなします。通常執行抗告にはその理由が正当でない場合がほとんどだからです。
共同入札
通常入札は、法人もしくは個人一名でなされるのが原則です。
しかし例外的に複数の名義で入札出来る場合があります。例えば夫婦・兄弟・親子などの身分関係がある場合などです。共同入札の場合は事前に執行官の許可を要します。
入札者間の関係を証明する公文書を添付して共同入札許可申立書の提出が必要です。執行官に許可された場合の許可書は、入札書に添付します。
強制競売
民事執行法では「強制執行」「担保権の実行としての競売」「その他の競売」の方法を定めていますが、そのうち強制執行の一手段として、強制競売があります。
判決や裁判所での和解または調停で決まった内容を実現するためや、公証人が作成した公正証書の内容を実現するための手続きでなどです。
事件番号の中に平成○年(ヌ)第○○○号という場合がありますが、それがこの強制競売の場合ですが、例として相続関係でこじれたケースなどでよく見受けられます。
強制執行
強制執行にも2通りのケースがあります。1番目は占有所が退去をして動産などの残置物がある場合と2番目は占有者がいる場合です。
1番目の占有者が退去して残置物がある場合です、強制執行には裁判所の執行官が立ち会います、その執行官が残置物を「ゴミ」と判断すれば落札した買受人が自由に処分できますが執行官が占有者の「財産」と判断されると買受人の費用で1か月間、保管をして自己で競売を申立てて自己で落札して処分するので手間と費用がかかります。
最悪なのは2番目の占有者がいる場合です、執行官立ち合いで鍵を開けて強制的にすべての動産を運び出して保管をしてから「心を鬼にして」占有者を追い出します。
逆恨みこそ無いとは思いますが、けして気持ちの良い事ではありません。
また動産を運び出したり保管したりと多額の費用と時間もかかります。
強制執行開始の要件
強制執行の開始又はその続行には,債権者からの執行力ある債務名義の正本に基づく申立てのほか,次の要件が必要です。(1)債務名義の正本等が債務者に送達されていること。(2)請求が確定期限の到来に係る場合には,その期限が到来したこと。(3)請求が債権者の引換給付義務の履行に係る場合には,その反対給付又はその提供をしたこと。(4)請求が代償請求の場合には,主たる請求の執行が不能に帰したこと。(5)請求が債権者の担保の提供に係る場合には,担保を立てたこと。なお,債務者につき破産手続開始,民事再生手続開始,会社更生手続開始,整理又は特別清算の開始があると,これらは執行障害となり,執行を開始し又は続行することができなくなります。
強制執行手続
強制執行手続は,勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,明渡しをしてくれなかったりする場合に,債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて,相手方(債務者)に対する請求権を,国家の執行機関が強制的に実現する手続です。
銀行ローンを利用する場合(法82条2項の申出)
買受人が金融機関等から残代金相当額の融資を受け抵当権を設定し,買受不動産を担保に融資を受ける場合は,代金納付前に執行裁判所に対しその旨の申出(民事執行法82条2項の申出書の提出)をしなければなりません。申出に際しては,金融機関等との抵当権設定の契約書(写し)及びその金融機関等と連名で登記の申請の代理を業とすることができる者(司法書士又は弁護士)を指定した「指定書」等が必要となります。銀行ローン利用の申出は,代金納付期限の1週間前(遅くとも代金納付期限の3日前まで)までに行ってください。
形式的競売
留置権による競売及び民法,商法その他の法律の規定による換価のための競売の総称です。これらの手続については,担保権の実行としての競売の例によるとされており,形式的競売の根拠となる民法等実体法規定の趣旨になじまない場合を除き,できるだけ担保権の実行としての競売の手続と同じ取扱いをします。
競売市場修正
競売手続に必然的に随伴する減価要因(売主の協力が得られないことが常態であること,買受希望者は内覧制度によるほか物件の内部の確認が直接できないこと,引渡しを受けるためには法定の手続をとらなければならない場合があること等)を売却基準価額に反映させる目的で,一般の不動産市場における売却可能な価格を算出した後(市場性修正を施した後)に行う価格修正のことです。
組み戻し
入札時に取下・取消などがあった場合には、入札を受け付けてもらえません。
しかし取下・取消などを知らずに、入札保証金を振込んだ場合には、「組み戻し」という手続を経て、保証金を返還してもらうことになります。
具体的には、振込金返還請求書を裁判所に提出します。
件外物件
競売の対象となっていない物件です。典型的な場合としては、土地建物のうち、一方だけが競売の対象となる場合です。その他、競売妨害の一手段として土地上に無権限で建物を建てる場合もあります。
減価修正
減価の要因分析をして求められた減価額を対象不動産の再調達原価から控除することであり,価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることです。建物の減価率は「定額法」,「定率法」及び直接観察して減価率を求める「観察減価法」がありますが,一般的にはこれらを併用する方法で減価修正が行われます。
原価法
不動産の価格をその再調達(再取得)に要する費用に着目して求めようとするものであり,価格の判定の基準日(「価格時点」ともいう。)において,対象不動産を再調達することを想定した場合に必要とされる原価(土地の更地価格や建物の再建築費用等)を求め,これから例えば建物であれば経年や損傷等に応じた減価額を控除して対象不動産の試算価格(積算価格)を求めるものです。
現況地目
登記簿上とは別に,現実の地目が記載されています。
現況調査報告書(3点セット)
執行官が,実際に競売物件を見た上で,その物件に関する権利関係や占有状況,形状などについて調査した内容を記載した書類です。現況調査報告書には,土地の現況地目,建物の種類・構造等不動産の現在の状況のほか,不動産を占有している者の氏名やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載されており,不動産の写真等が添付されています。
公告
裁判所が一般公衆に一定の事実を知らしめることを公告といいます、通常一般公衆に関連があるものは、売却方法の公告や、売却決定期日の公告、配当要求終期の決定の公告などがあります。
抗告によらなければ不服申立てができない裁判
強制執行をするには債務名義が必要ですが,確定判決や仮執行の宣言を付した判決等と同じく,抗告によらなければ不服申立てができない裁判も債務名義となります。ただし,確定しなければその効力を生じない裁判(例えば,民事執行法83条の引渡命令)にあっては,確定したものに限ります。
公示価格
国土交通省土地鑑定委員会は,地価公示法に基づき,都市及びその周辺地域で標準地を選定し,毎年1回基準日(1月1日)における標準地(公示地)の正常な価格を判定し,これを公示しており,これを公示価格といいます。評価書においては,「地価公示価格」との表現で価格資料として掲げています。
個別補正
「標準価格」に対象地の有する個別性を考量した個別の格差修正(個別修正,個別補正,個性率適用等の言葉で表現されています。)を行って対象地の価格を求める手法です。
サ行
最高価買受申出人
最高価買受申出人とは,期間入札の開札期日において,入札者の中で最も高額な入札金額の申出をし,執行官から最高価買受申出人と定められた者のことです。
最先の賃借権
とてもとても強い権利ですという、裁判所のメッセージです。
買受人は、以前の賃貸借契約を引き継ぐことになります。
いわゆるオーナーチェンジですので自己での利用はできません。
また家賃、契約期間、敷金・保証金などの従来の契約書の条件は、全て買受人が引き継ぎます。入札される時は、物件明細書に記載されている敷金・保証金の額は念頭に入れて検討されて下さい、退去時には買受人の負担で、賃借人に返還しなければいけません。
再調達原価
不動産を価格時点において再調達することを想定した場合に必要とされる適正な原価のことです。建物のみ,建物及びその敷地の場合だけでなく,最近の造成地,埋立地等の対象不動産が土地のみである場合にも求めることができます。再調達原価は建設請負により,請負者が発注者に対し直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定して,「標準的な」建設費に発注者が直接負担する通常の付帯費用を加算して求めます。
最低売却価格
平成17年6月20日までは、これ以上の金額で入札しなければならないというものです。平成17年6月27日開札分以降は「売却基準価額」に変更しました。
再評価
再評価とは、特別売却期間を経ても買い手が付かない、また売却条件の変更等により、売却基準価額を再度見直す事を言います。 基本的には売れ残ってしまった物件に使われる事が殆どです。ゆえに、再評価が実施される物件は何らかの問題が多いとも考えられます。
差押登記
差押登記とは、一般的に抵当権が設定されている不動産において、抵当権を有する債権者が抵当権を行使し、裁判所に競売の申立てが認められた場合に行われる登記のことを言います、差押登記後、売却手続きが始まります。
債務名義
債務名義とは,強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した公の文書のことです。強制執行を行うには,この債務名義が必要です。債務名義の例としては,判決・引渡命令・和解調書・即決和解・公正証書などありますが、明渡しの強制執行は公正証書ではできません。
差押・仮差押
登記簿謄本の甲区に現れてきますが、不動産の処分を制限するものです。
所有者が利用することまで禁止するものではありませんが、所有権の移転・担保権の設定が制限されます。(仮差押えは、差押え登記をするには手続上の要件が欠けていて、仮に差押えがなされているものです。)
よく見受けられるのが不動産競売開始決定に伴う差押えがなされる場合や、また、国や地方公共団体の税金の滞納により当該不動産に差押えがなされている場合です。
買受人が競売手続で代金納付を完了し、所有権移転登記がなされると同時にこれらの差押えの登記は全て消去されます。
3点セット
裁判所が競売物件の資料として「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3点を期間入札の公告と合わせて公開します。
事件番号
競売申立がなされた場合に、裁判所側の事務処理上の便宜のため事件番号というものが付されます。以後この事件番号が、最終的な配当にいたるまで基礎番号として使われます。
この事件番号は、不動産競売の手続きを進めていく上で、常に必要になります。
市場性修正
競売不動産の評価では,対象物件自体の個別的要因(形状,規模,接道状況等)による増減価は,試算価格査定の段階で行われるのが通常ですが,例えば,借地権付建物のように,個別的要因を考慮しても,その物件の特殊性のために需要が限定され(土地の賃貸人など買受人が事実上特定の人に限定されることが多いと思われます。),売却が困難である場合があり得ます。このように,主に物件自体に固有に内在する市場性を制約する要因による修正を「市場性修正」といいます。
執行官
国家の代理人として、強制執行の実際の作業を取り仕切る人を言います。
執行官の具体的な業務は、売却実施のための準備 ( 現地検分、入札書類受付、開札準備 ) 、強制執行・保全処分の実行などを行います。
執行官保管
差押えをした抵当権者にとっては、その不動産が価値を維持して売却されて配当を得ることを期待しています。また買受ける者にとっても、その利用が確保されることを期待しています。ところが、競売不動産はその性質上、競売妨害の温床となっていることも事実ですから、競売妨害を事前に食い止める手だてが必要です。そこで、執行官に目的不動産を保管させる制度です。
執行抗告
裁判所の執行処分(競売や引渡命令など)にたいして不服申立てを行うことです。
以前は、この制度を悪用し競売の妨害や遅延の目的でなされることが多く見受けられたため、平成10年度の民事執行法改正により、執行抗告が強制執行の手続を不当に遅延させることを目的としてなされた場合には、裁判所が執行抗告を却下できるとの規定が設けられるようになりました。そのため最近では執行抗告が減っており、競売の手続が以前よりも迅速で開かれたものになりました。
執行証書
公証人がその権限に基づき作成した公正証書であって,一定の金銭の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求を表示し,かつ,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの。
執行文
強制執行の実施は,執行文の付された債務名義の正本に基づかなければなりません(民事執行法25条)。この執行文の制度は,債務名義が存在していても,それが現在執行力を有するか,また,誰との関係で執行力を有するかについては更に調査を要することから設けられています。執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が,執行証書についてはその原本を保存する公証人が,その点を調査して,債務名義の正本の末尾に執行力がある旨の証明(「債権者Aは債務者Bに対し,この債務名義により強制執行することができる。」)を付記します。
書記官
裁判官を補助したり、執行上裁判所が行う公告・登記等を行い、裁判所の事務処理を担当しています。競売での提出書類などを受け付けてくれたり、書面を作成してもらいます。具体的には、代金納付手続、引渡命令の申請などです。
執行交付与
強制執行をする場合には、原則として債務名義のほかに、執行文の付与の申し立てをして執行文の付与を受けます。例えば、引渡命令が確定すれば、送達証明とこの執行文の付与を受け強制執行をすることになります。
執行妨害
競売手続を意図的に阻止あるいは遅延させるものです。例えば、売却実施以前に占有を第三者に移したり、件外建物を構築したり、また買受人が決定した後でも、執行抗告を行ったり、不当な明渡し料を要求して不法占拠するなどです。そういった物件は入札しないか、プロの業者などに依頼しないと危険です。
収益価格
不動産の価格を求める手法の1つである「収益還元法」を適用して試算された試算価格を「収益価格」といいます。収益価格は,収益性不動産(賃貸物件)のほか,賃貸借をすることが物理的,経済的に合理的である不動産においても試算します。
収益還元法
不動産の価格を求める手法の1つであり,対象不動産が生み出すであろうと期待される収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。
使用借権
使用借は、無料で借りる事です。代価を払う賃貸借に比べ『返せ』と言われれば、返さなければなりません。使用借権は、法的な保護は受けられません、第三者に対しても対抗力はありません。
使用借権付建物
使用貸借契約に基ついて土地を無償で使用収益させる権利が付着した建物をいいます。
親権縁者の場合ですと土地をただで使わせてあげる場合も多々ありますが、競売になりますと強制的に売却されるわけですから、使用借権付建物という事態も生じます。不動産競売ならではの物件です。
所有権移転仮登記
所有権移転の実体が備わらない場合に、順位を保全するために仮登記が設定されます。よくなされているのは債務が弁済されない場合に債権者に所有権が移転する旨の登記です。ただ、昭和53年の仮登記担保法が制定されてから債権者の丸取りは禁止され、清算義務が課されました。この記載は、登記簿上「甲区」に現れますが、競売における代金納付によって抹消されることになります。
所有権移転手続
代金納付手続が終わったら,裁判所書記官から管轄法務局に対し,次の登記嘱託手続をすることになります。(1)前所有者から買受人に対する所有権移転登記(物上保証人の方が買い受けた場合は不要です。)(2)差押登記や抵当権等の設定登記抹消登記。上記の登記を嘱託する際には,登録免許税法の定めにより手数料(収入印紙又は納付書による納付)を納付しなければなりません。
次順位買受の申出
次順位買受の申出とは,最高価買受申出人が売却代金を支払わなかった場合に次順位買受申出資格者が買受人となることを,開札期日において執行官に申し出ることをいいます。ただし,申出をするには,(1)最高価買受申出人に次ぐ高額の申出であること,(2)申出額が買受可能価額以上であること,(3)申出額が最高価買受申出額から買受申出保証額を控除した金額以上であることが必要となります。
積算価格
不動産の価格を求める手法の1つであり,原価に着目して求める「原価法」を適用した場合に求められる一時的に試算された段階での中間的な価格(以下「試算価格」という。)を「積算価格」といいます。
タ行
代金納付
競売物件を落札した後、落札金額から入札時に支払った保証金の金額を除いた残代金を支払うことをいいます。その他、必要な費用・書類を準備して裁判所に提出し、一連の手続を済ませると、所有権が落札者へ移転します。売却許可の決定後に裁判所から代金納付期限通知書が届き、それ定められた期間内に納付する必要があります。
代金納付期限通知書
競売物件を落札して売却決定確定されると1~2週間の間に裁判所から送付される通知書のことを言います。代金納付期限通知書には、代金納付期日、残代金、必要提出書類等が記載されており、 内容に従って代金納付の準備を進めます。
担保権の実行
不動産を目的とする担保権の実行の方法には,担保不動産競売と担保不動産収益執行があります。担保不動産競売とは,競売(広く買受けの申出を行わせ,最高の価額で申出をした者に売るという売買方法)による不動産担保権の実行をいい,担保不動産収益執行とは,目的不動産を差し押さえ,管理人にこれを管理させ,その不動産から生ずる収益を債権の弁済に充てる方法による担保権の実行をいいます。
担保不動産競売事件
「事件番号・・・・平成27年(ケ)0000号」
不動産に設定された担保権(おもに抵当権)を実行するための手続きで、事件番号の符号が(ケ)と表示されます。
滞納管理費
マンションなどで競売不動産の所有者が、管理費・修繕積立金などを滞納している場合の金額をいいます。これについては基本的には、買受人が負担しなければならないので、事件記録および管理会社で確認を要します。
立会人
執行官が現地を調査する場合や、強制執行・保全処分を行う場合に、執行官に立ち会って、その作業内容を確認する者です。立会人は法律上の職務執行者ではありませんが、第三者が現場を見届け公正な執行官の職務遂行が確保されるように慣習上認められています。民間の私人であり公的機関ではありません。
短期賃借権
抵当権設定後設定された賃借権については、その用益権を保護しようとする趣旨の下、一定期間に限定して買受人に対抗できます。その保護される賃借権を短期賃借権といいます。山林以外の土地については5年、建物は3年です。期限の定めのない賃借権については、土地の場合は一切保護されませんが、建物については3年間保護されます。
ただ、実務上短期賃借権は競売妨害に使われているケースが多いことから、債権回収目的の場合等には、短期賃借権として保護されない場合もかなりあります。また、平成16年4月1日以降は民法改正により、新たに短期賃借権を設定もしくは既存の短期賃貸借を更新することはできなくなりましたので(平成16年4月1日時点で存在する短期賃貸借のみ有効期間内に存続するにすぎません)買受人にとって賃借権の設定時期は最重要確認事項です。
地代の代払いの許可
借地権付建物の場合については、借地権が存続していることが建物利用のためには必要条件となってきます。ただ、地代の支払い義務者である建物所有者は、支払い怠っている場合がほとんどです。そこで、地代不払いによる借地権の消滅を回避するために、債権者が代わりに地代を支払うことを裁判所に許可してもらいます。この地代の代払いの許可がある場合には、一般的には借地権が存続すると考えていいでしょう。ただ、地主が借地権の存続について訴訟を提起している場合もあるので、注意が必要です。
長期賃借権
長期賃貸借は非常に強い効力をもっています。
占有者が長期にわたり賃料を滞納するなどの、賃貸借関係における信頼関係を破壊するような事情がある場合以外は、買受人は法的手段をもっても占有者を追い出すことはできません。長期賃貸借の存在する競売物件に入札しないほうが無難です。
賃借権の登記
長期賃貸借は非常に強い効力をもっています。賃借権は通常、土地であれば建物の保存登記で、また建物であれば引渡で第三者に対抗できますから、賃借権を登記するということはまずありえません。にもかかわらず、賃借権を登記している場合は通常、競売妨害(債権回収目的)だと考えて下さい。
抵当権の同時設定の申出
従来、代金納付終了後職権で所有権移転登記と抵当権などの抹消登記がなされた後でなければ、金融機関から融資をうけるための抵当権は設定できませんでした。ところが、平成10年の民事執行法の改正で、所有権の移転と抵当権の設定の登記を同時に行いたい場合、代金納付の前にその申出を行うことで、同時設定ができることになりました。
このことにより、競売不動産の代金支払いのための融資が促進されると言われていますが、実際には大手都銀などは競売物件を一般個人の方が落札しても、まだまだ融資が難しいのが現実です。
抵当権抹消制度
前記の滌除を改めてできたのが抵当権消滅請求制度(2004年施行)です。
抵当権消滅制度は滌除に比べると、抵当不動産を買った人に抵当権を消滅させることは滌除と同じですが、いくつかの点で抵当権者の負担を軽減しました。
一つ目は抵当権者が買った人からの申出を受けた場合、増加競売の請求までの期間を1ヵ月以内から2ヵ月以内になりました。これで抵当権者は、買った人の申し出を受けるか受けないかの判断を十分にできるようになりました。
二つ目は抵当権者が申し出を拒否して増価競売になった場合、仮に申出額より1割以上高い金額で落札者がいなくても、自ら買い受ける必要がなくなりました。
なお、滌除では抵当権者が抵当権を実行する場合には、抵当不動産を買った人に対して行使の機会を与えるために、抵当権を実行する旨の通知を買った人にしてなお1ヵ月を待って初めて抵当権実行を申し立てることができました。抵当権消滅では抵当権実行に際して抵当権者が勝った人に通知を行う義務を廃止しました。
滌除(てきじょ)
「滌除」とは抵当不動産を買った人が、その不動産の評価額分の支払を抵当権者に申し出て
その承諾を得て抵当権を消滅させることができる制度です。
ここで買った人が申し出た金額を抵当権者は了承する必要はありません。
しかし了承しない場合、抵当権者は申し出を受けてから1ヵ月以内に申出人に対して増価競売(一定の金額以上での債権者による任意競売のこと)の請求をして、更に1週間以内に増価競売の申立てをしなければ成りません、これをしないと申し出金額を承諾したことになって、買った人の申し出金額で抵当権は消滅してしまいます。また、申し出を拒否して増価競売した結果、申し出金額より1割以上高い金額で落札されなかった場合は、抵当権者自らが申し出金額より1割高い金額でその不動産を買い受けなければなりませんでした。
抵当権の額が不動産の価格を上回っている、オーバーローン状態の不動産等を流通させるための制度でしたが増価競売を申し出たり、買い取り義務などが抵当権者にとっては大きな負担となるので、滌除が抵当権を妨害する手段として利用されることが多くありました。そこで、2004年にこの「滌除」は廃止され、「抵当権消滅請求」制度が施行されました。
特別売却
特別売却とは期間入札によって落札されなかった競売不動産の売却の方法を言います。
期間入札で入札が無かった物件は、開札期日の翌日から1週間、特別売却になります。
特別売却は期間入札とは違いオークション方式ではありません売却基準価格で売却されます、最初に「欲しい!」と言った人が購入できます、簡単に言えば「早い者勝ち」です。
しかし、プロも見送った物件です「質が悪い」「権利関係が複雑」などと何らかの問題があると考えられますが意外な「掘り出し物」が見つかる事もあります。
取下げ
取下げとは競売を申立てた債権者が競売を中止することです。
債権者は、売却が実施されるまではいつでも取下げが可能で、一般的には開札の直前までは取下げの可能性があると考えて良いでしょう。(厳密にはその後も取り下げは可能ですが、最高価買受申出人などの同意が必要になります。)競売が取り下げになる主な理由として、任意売却になった、予想以上に評価額が低かった、ということがあるようです。
取下げの多くは開札期日前日までに取下げされるケースです。私自身も入札した物件が何度か取下げになってしまった事があります、正直泣くに泣けません。最近では問題の無い優良物件ほど、その傾向が強いようです。入札前には「取下げ」「取消」「停止」の確認を必ずしましょう、保証金を振込んで入札しても最初から買受けできる見込みは無いので無駄足を踏むことになります。
ナ行
入札価格
入札にあたって、入札書に自分が希望する購入価格を記載します。この価格が、入札した者のなかで一円でも高ければ、落札できます。また、この入札金額から入札保証金を控除した額を代金納付期日に支払います。
入札期間
この期間に、入札を受け付けつけます。入札期間は概ね1週間です。
入札書
入札するために必要な書類です。ここに入札者、入札金額、保証金額など必要事項を記載して、所定の封筒に入れて綴じます。一度提出した場合は基本的に変更、取下げは出来ませんので注意が必要です。後に安心するので綴じる前にコピーを取ることをお勧めします。
入札保証金
入札する際には、売却基準価額の2割に相当する金額を振り込む必要があります。
そのお金の事を入札保証金といいます。物件を落札した場合には、入札金額からこの入札保証金を差し引いた金額を代金納付時に支払います。
落札されなかった場合、入札保証金は全額返還されます。
入札保証金振込証明書
入札保証金を、裁判所に備え付けてある所定の用紙で振り込み、その振込用紙(裁判所提出用)を貼付する書面です。その他必要事項を記載した上で、入金後の振込用紙を貼付後、割り印して入札時に裁判所に提出します。振込用紙は裁判所によって違うので管轄裁判所専用の用紙を使います。
ハ行
売却基準価格と買受可能価格
競売の迅速性と実効性を図るために平成17年4月の民事執行法の改正により、「最低売却価格」が見直され、新たに「売却基準価格」と「買受可能価格」の2段方式になりました。売却基準価格は裁判所が不動産鑑定士の評価をもとに決めています。入札の保証金はこの「売却基準価格」の20%の金額です。
「買受可能価格」は「売却基準価格」の2割下回る価格のことで、「買受可能価格」以上の金額でなければ入札ができません。
売却決定期日
開札期日から、おおよそ1週間で裁判所が最高価買受申出人に対して落札した不動産の売却を許可するか否かを審査して決定する期日をいいます。この決定がなされると最高価買受申出人は買受人となります。
また、更に1週間後、執行抗告がない限り売却許可決定がその翌日に確定します。確定すれば、代金納付の期限通知書が送付されてきます
売却決定不許可事由
競売物件を落札しても、この事由がある場合には売却許可決定がなされません。
その具体例としては未成年者・禁治産者・当該物件の債務者また、以前同事件の物件を落札したにもかかわらず代金納付をしなかった者です。
配当要求
債権者が、当該競売不動産が売却された場合の代金から配当を受けるために債権の届出を行います、これを配当要求といいます。これ自体は入札する側にとって重要というわけではありませんが、この配当要求できる期日が公告されます(配当要求終期の公告)その公告された物件はいずれ競売になるので競売の広告より先に情報を知ることが出来ます。
よって、この配当要求終期の公告をみていち早く物件調査を行うこともできますし、任意売却の交渉も可能になります。
破産管財人
債務者(所有者)が破産した場合に、通常弁護士が破産者の財産を管理することになり、その管理者のことを破産管財人といいます。事件記録の中でこの破産管財人が当該競売不動産を管理している旨の記載があれば、明渡し交渉は簡易に進むことが通常ですが事前に調査することが賢明です。
引渡命令の申立
競売で取得した不動産に人が住んでいたり、家具などの動産が置いてあったりした場合は裁判所から相手側に対して不動産を引き渡すように命令を出す手続きです。
引渡し命令が出ても問題が解決しないときは最終的に強制執行をすることができます。
引渡し命令の申立の期限は代金納付日から6か月以内です占有者に「明渡し猶予」が認められている場合は、代金納付日から9か月以内であれば申立てができますが明渡し猶予期間が終了するまでは申立てができません。
B I T(BIT競売情報システム)
裁判所が公開している競売に関する情報をインターネットで閲覧するシステムのことです。
今までは、裁判所で競売物件を閲覧して3点セットをコピーして物件を調べるやり方でした。現在は、このBIT競売情報システムの検索システムを使えば、自宅にいながら、3点セットのダウンロードや売却結果などの確認ができます、非常にありがたいシステムです。
※全ての裁判所の競売情報を閲覧できるわけではありません。
詳しくは →BIT(不動産競売物件情報)
評価書(3点セット)
執行裁判所の選任した評価人(原則として,不動産鑑定士を選任しています。)が,その物件の価格評価とその算出過程などについて記載した書類です。評価書には,不動産の評価額,周囲の環境の概要等が記載されており,不動産の図面等が添付されています。これらを見れば,算出された評価額の理由,不動産の現況と,それをめぐる公法上の規制等法律関係のあらましが分かるようになっています。
物件明細書(3点セット)
買受人が引き受けることとなる権利関係など、目的不動産に関する情報が記載されています。各欄に短いコメントが書いてありますが、これは裁判所による所見です。中には注意を促しているものもあるため見過ごさないようにしてください。
併用賃借権
債権者が抵当権設定とともに賃借権を設定する場合があり、これを併用賃借権といいます。これは、債務者の債務の弁済がなされない場合に占有を取得して債権回収の目的のために設定されるものであり、不動産本来の用益を目的としたものではありません。よって、短期賃借権として保護されないことが多いですが、転貸自由特約をつけて第三者に占有させているなど、実態確認は不可欠です。
保管金受領書
代金納付の手続きを終了した際に、代金を確かに納付しましたという証明になるものとして裁判所から交付されるものです。これによって、所有権を取得したという証にもなります。競売では落札した物件の領収書は発行されませんので、入札時の保証金を振込用紙などと一緒に保管金受領書もきちんと保管するようにしましょう。
保全処分
買受人がその権利を実現するために、あらかじめ一定の保全処置を講じます。
所有者・第三者が不動産の価格を減少させ、また引渡しを困難にするときに、占有移転の禁止を命じたり、執行官にその占有を移転する命令を出してもらうよう裁判所に申立てを行います。また、競売妨害に備えて差押え債権者のための保全処分もありますが、手続きの煩雑などで、現実にはあまり見受けられません。これがなされている場合には、一応安心して入札を行えると言えるでしょう。
保全管理人
会社更生の場面で、更生申立から更生開始決定までの間、更生会社の財産管理を行なう人で、通常は弁護士が選任されます。更生開始決定がでると、更生管財人にバトンタッチします。
補充書
期間入札の対象となった競売物件が売れ残り、特別売却物件となってもさらに購入希望者がいない場合には、改めて当該競売不動産を「再評価」して売却基準価額の再設定をします。再評価をする場合、評価書を全て書き直すことも可能ですが、通常は変更となった部分だけを補充する形で「補充書」を作成します。
マ行
民事執行法上の保全処分
民競売手続が進んでいる状態で、不動産の価値を下落させたり競落を妨害する行為がなされている場合に、裁判所の命令で行為をしないよう命じたり、執行官に不動産を占有管理してもらう命令です。差押債権者や買受人が申し出ることが出来ます。買い受ける側から見れば、既に差押債権者によりこの保全処分がなされている場合は、一応安心して入札できます。ほかに、引渡命令の相手方が変わらないようにするため、占有移転禁止の保全処分を申し立てることもできます。
民事再生法
破産が事業を終結して清算するのに対し、事業を継続しながら手続開始以降の収益の中で負債の一部を支払い、支払いきれない残余を免除してもらう法律です。
昔は和議と呼ばれていました。法人だけでなく、個人でも可能です。破産を選択した場合より配当額がアップする支払条件であることが必要ですし、債権者の過半数の賛成がなければいけません。弱点は、担保権者を拘束する方法はなく、担保権者の同意がなければ上手く進めることができないことです。担保権者と再生債務者の協議がこじれた場合には、強制競売が開始することもあります。
民事執行手続
民事執行手続とは債権者の申立てにより、裁判所が債務者の財産を差し押えて、その財産を現金化して、債権者に分配するなどして債権を回収させる手続です。
民事執行手続には、「強制執行手続」や「担保権の実行手続」といった種類があります。
民事執行法63条2項1号の申出・申出額
差押債権者が,無剰余(不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たない場合)による競売手続の取消しを回避するため,民事執行法63条2項1号の申出及び保証の提供をする場合があります。具体的には,差押債権者は,手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(これを「申出額」といいます。)を定め,その申出額に達する買受けの申出がないときは,自らが申出額で買い受ける旨の申出をし,更に,申出額に相当する保証を提供することになります。この場合,その他の買受希望者は,この申出額以上の買受けの申出をしないと最高価買受申出人になることができません。
申立債権者
競売の申立をする債権者(抵当権者)のことをいいます。
不動産競売の場合は、主に銀行などの金融機関が債権者である場合が多くなります。
ヤ行
予告登記
登記原因の無効または取消しを理由として、登記の抹消または回復の訴訟が裁判所に提起された場合に、その旨を第三者に警告するためになされる登記です。
例えば、甲が乙を脅迫して不動産の売買契約を締結し甲への所有権移転登記を完了した場合、乙が脅迫を理由に売買契約を取消し、所有権移転の抹消登記を求める訴えを裁判所に提起した場合に、当該裁判所の書記官によって予告登記が嘱託されるのです。なお、この予告登記は、競売による買受けでは裁判所の方で嘱託にて抹消してくれませんので、この登記のある物件への入札は要注意です。
ラ行
留置権
不動産の占有者が、その物件に関して費用(修繕費など)を支払っていた場合、その物件の占有の明渡しを求める者が、その費用を支払わない限り占有者は明渡しを拒めるという権利です。この留置権が成立する場合には、その旨が3点セットの「物件明細書」に記載されていますので、競売物件を選ぶ際には確認が必要となります。
ワ行
和解調書
和解の内容を調書に記載したときは,その記載は,確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法267条)
和議
債務者が破産宣告を受ける状態になった時、破産させないように、債権者と債務者とが合意で結ぶ強制契約。